小美玉フットボールアカデミースクールマスター
松下潤氏
- シナトレを取り入れようと思ったきっかけは?
- 女子中学生の全寮制アカデミーを創設するにあたり、男子との違いを自分なりに考えた時に骨格を含めた身体の動きだというところに行き着きました。そのために何をしたらいいのかと考えた時に、以前つくばFCでジュニアユースを指導していた頃、一度体験をさせて頂いたことを振り返りながら、バレエが良いかもしれないと思ったのがきっかけです。もちろんバレエですべてを解決しようと思っているわけではなくて、傷害予防系のトレーニングでFIFAが出している11+(※http://www.jfa.jp/football_family/medical/11plus.html)とか、ストレッチと筋トレが組み合わさっているような動きだったりとか、スプリントとか、そういうのを含めてなんとかアスリートの動きにするっていうのをやりたかったというのがありますね。あとは、女子の方が男子よりも怪我のリスクが高いので、前十字靭帯とかの膝の怪我を予防するには、前側の筋肉だけじゃなくてバランスよく筋肉をつけていないとブチッといっちゃったり、エックス脚気味の子とかにとってもいいのかなと思っていたのがきっかけです。そういうイメージはその頃から持っていて、実際にやってみてやっぱりいいなぁと思ったので。
- 効果があるかどうかわかるまでに時間がかかりますが、どういうところが良いと思ったのですか?
- そりゃあ効果が出るかどうかわからないという不安はもちろんありましたよ。でも、こういうのってすぐに効果が出るわけじゃないというのがそもそも分かっていて取り入れていますし、まぁどんなに短くても1年、でも僕らの他の走り方トレーニングも含めて3年間はやってみないと成果って見えないなというのは思っていたので、ずっと続けるつもりでお願いしました。
- 導入して頂いて1年半以上が経ちますが、どんな効果を感じていますか?
- パフォーマンスで言えば、シンプルに転ばなくなっているというのが一番ですね。それは他のトレーニングの要素も影響しているかもしれませんが。心配していた怪我は一件も出ていません。なので、それは本当に良かった。シンスプリット(※傷害予防へリンク)をやってしまったりしましたが、膝を切るとかそういうのはゼロです。あともう一つは、選手の意識が変わったというのがとても大きいですね。
- どんな意識の変化があったのですか?
- 隙あらばストレッチをやってますね。例えば、お風呂から上がったらストレッチやりながらLINEとか(笑)全員が全員というわけではないですが、大半の子たちが普通にストレッチをやっています。日本代表の試合をテレビで見ている時も、ストレッチしながら見ていたり、ハーフタイムの時になったらちょっとストレッチやったりとか、そういう毎日の過ごし方が変わったのが、やっぱりバレエトレーニングの成果かなと思います。意識づけによって、長く続けてもらえると良いですね。僕らのようなサッカーのコーチが「ストレッチやれ!」と言うのと、専門家が来てちゃんと伝えるのでは、まったく違うと思います。スプリントも、僕が速くなれというより、速い人から言われる方が説得力が全然違いますよね。そういう意味でも、いろんな人に関わってもらうことは大事ですよね。
- サッカーのコーチもストレッチが大事だということは言ってらっしゃるんですよね。
- もちろんです。でも、きちんとしたストレッチのやり方を伝えられる人は非常に少ないと思います。解剖学的にも理解していないといけないですし。ちょっと倒す角度が違えば、伸びる筋肉も違うし、どうすれば効果的なストレッチができるか、そこまでちゃんと教えられる人は少ないですから。僕らが伝えるよりも選手たちが自分たちで正しくやれるようになったというのはとても大きいです。
- どんな人におススメしたいですか?
- なんでこんなに怪我人が出るんだろうと思っているチームにぜひおススメしたいです。それと、相手チームと対峙した時に、テクニックや戦術では劣っていないのになかなか勝ちきれないなと感じて、身体の動きなんじゃないかな、と感じた人にもお勧めしたいです。ラダートレーニングや体幹トレーニングやりましょうってことになると思うんですけど、それらはあくまで身体全体の動きの中のほんの一部を切り出したトレーニングじゃないですか。でも、シナトレはその中で身体全体のバランスだったり、動きを伴いながらだったり、いろんな動きの要素がまとまった状態でトレーニングできるので、ラダーとか体幹とかいろいろやらせる必要がないっていうのはとても良いです。それに加えてストレッチや柔軟もやるので、何かをやらなきゃいけないけど、何をやったらいいのか迷っていたり分からない人には、とりあえずシナトレやってみたら、とお勧めしますね。