6年間続けてきたシナトレで当たり負けしない身体に

レノファ山口FCアカデミー住田優コーチ・吉松佑哉選手(2016年当時)

2010年に月1回シナトレを導入していたレノファ山口FCアカデミー導入実績はこちら】で、当時中学1年生だった吉松選手が、その後6年間シナトレを自分で続けているというので、中学時代から指導をしてきた住田コーチと一緒にお話を伺いました。

バレエという畑違いの分野のトレーニングを取り入れようと思ったのはなぜですか?
【住田】新居さんからバレエのレッスン内容やトレーニングの話を聞いて、柔らかいのに強い、というのがサッカーにも役立ちそうだし、なんか面白そうだなと。それに新居さんのトレーニングに対する強い思いを感じましたし、新しいことをやらなければ新しい結果は得られないという考えもありました。
まだシナトレの効果検証もできていなかった当時、導入にリスクは感じませんでしたか?
【住田】柔軟性を高めることによって、一時的にサッカーのパフォーマンスが下がるかもしれないという話は聞いていました。でも、私はサッカー選手を育てるという以前に人間を育てているという信念で指導していますから、目先の結果ではなく、子どもたちの将来を考えて良いと思ったことは何でも取り入れたいと思って導入しました。サッカーに限らずスポーツ選手にとって柔軟性を高めることは怪我予防になりますし、比較的体格が小さくて細い選手が多かったので、バレエの体幹や軸を安定させる技術を取り入れれば、サッカーのプレースタイルも変わるだろうと考えました。それに選手たちには、新しい考えや異分野からトレーニングを取り入れるという心の柔軟性も持って欲しいと思いました。
バレエのトレーニングをやると聞いて嫌じゃなかったですか?
【吉松】チームとしてやるからには意味があるんだろうなと思っていました。実際にやってみて、女の子っぽいと思うことも全くなかったです。ただ、チームの中ではやりたくないと思っている選手もいたと思います。
【住田】あの当時はやりたくないと言って、ふてくされて真面目にやっていなかった子たちもいましたよ(笑)。けれど、彼らがユースの選手になってからトップチームと同じようなトレーニングをするようになって、あの時やっていたことが正しかったんだと認識を改める結果になりました。そこでずっとコツコツやり続けてきた吉松と、続けてこなかった選手にフィジカル面では差が出ました。もちろん認識が変わってからはその必要性を感じて、今はきちんとやっている選手もいます。
レノファ山口フットボールクラブU-18
チームとしてのシナトレは1年間で終了しましたが、自分一人でも続けようと思ったきっかけは?
実は、小学生の時にめちゃくちゃ体が固かったんです。前屈で膝を伸ばして床に手が届かなかったんです。実際にトレーニングをやってみたら、ストレッチしたり、足をあげたりするものだったので、必ず自分の役に立つと思いました。毎日お風呂上がりに、シナトレで教わったストレッチをやっていくうちに、だんだん体が柔らかくなりました。
【参考】男子高校生サッカー経験者と
吉松選手の股関節可動域角度の比較
開脚 屈曲(右脚) 屈曲(左脚) 外旋
男子高校生サッカー経験者
50名の平均値
107.1° 76.6° 74.3° 108.7°
レノファ山口FC U-18
吉松佑哉選手
120.0° 95.0° 95.0° 110.0°
高校生になってからは、どんなトレーニングをしていましたか?
【吉松】ウェイトトレーニングが多いです。練習の後は、ストレッチをする時間があまりないので、お風呂上がりに毎日やっています。中学3年間で毎日ストレッチをする習慣ができたので、高校になってからはむしろやらない方が嫌な感じです。最初にウォームアップをみんなでやってから練習を行い、終わった後は軽くストレッチをしてから帰ります。そして家に帰ってお風呂上がりにストレッチをする、と言うのが毎日のリズムになっています。
体が固かった頃と今とを比較して、サッカーのパフォーマンスは何か変わりましたか?
【吉松】小学生の時は、体がふにゃふにゃしていて弱くて細かったのですが、中学3年生の時には当たり負けしなくなりました。体幹が強くなって、軸ができているのかなと思いました。今は、フィジカル面で苦労することはないです。
【住田】うちのチームの中では、吉松と中学1年の時に一緒にシナトレを経験しているもう一人選手が、フィジカルで一番強いと思います。
この6年間で怪我はしましたか?
【吉松】大きな怪我はしたことがなく、足首の捻挫が2回くらいですね。
【住田】チームには常に腰や足の怪我人がいる中で、吉松は安定的に試合に出られる選手です。長期休暇中に遠征へ行くと、1日3試合が3日間くらい続くこともあるんですけど、吉松はフルで出ても大丈夫ですね。軸がしっかりしているので、他の選手に比べると走り方にブレがないので、動きに無駄がなくスタミナも減りにくいんだと思います。
体が硬くて悩んでいる中学生に一言お願いします。
【吉松】シナトレは一つのトレーニング法としてとても良いと思います。柔軟性を高めるという意味でも、体幹を鍛えて軸を安定させると言う意味でもぜひ勧めたいです。継続してやることで、柔軟性が高まり、サッカーのパフォーマンスにも必ず変化が現れると思います。
【住田】吉松は、サッカーに対する姿勢がとにかくまっすぐでした。早い段階からプロになりたいという想いを持っていたようですが、当時の彼のレベルでは絶対に無理だという現実があって、何かを変えなきゃ、という気持ちがすごく強かったんです。コーチがこうしてみたらと言うことは、必ず一度は試していました。まずやってみて、良いと思った事は何でも吸収してやろうというポジティブな性格ですね。しっかり現実を受け止めて、何が必要なのかを考えて、さらにそれを実行していくことでしか、自分を変えることはできないのだと思います。これからもポジティブ思考で何事にもチャレンジしていって欲しいです。
シナジリティトレーニング